精神障害と障害年金
2024/12/17
こんにちは、東京都北区で障害年金の相談・裁定請求に特化した事務所を運営する
社会保険労務士の中村健司です。
今回は、精神障害と障害年金というテーマで、障害年金が請求できる精神障害・診断書
の見方などをまとめてみます。
【障害年金が請求できる精神障害】
障害年金が請求できる精神障害は以下の通りとなります。
1,統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害
2,てんかん
3,症状性を含む器質性精神障害
4,知的障害
5、発達障害
【神経症などの精神障害は?】
人格障害(パーソナリティー障害)、神経症は障害年金の対象傷病ではないため
障害年金の請求は出来ないことになりますが、精神病の病態を示している場合は
障害年金の対象となります。
この場合、診断書の備考欄にその症状と、その症状に対応したICD‐10コード
を記入することになります。
以下の記述は、人格障害・神経症についての障害認定基準の記載箇所からの引用
となります。
☛人格障害は、原則として認定の対象とならない。
神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則 として、認定の対象とならない。
ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態 を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。
【精神障害の認定基準】
肢体の障害であれば、関節の可動域(どこまで動かせるか?)・腎臓や心臓などの
内臓疾患の障害であれば血液検査・心電図などの客観的な数値により障害の程度を
明確に示すことが可能となります。
精神の障害については、客観的な数値により障害の状態を示すのが困難なため
「日常生活において自分で自分の用事を行えるか」が等級を判定する際の基準となります。
【精神の診断書】
精神の診断書の裏面は、「日常生活において自分で自分の用事を行えるか」の判定基準
として、2,日常生活能力の判定欄と3,日常生活能力の程度の欄が設けられています。
2,日常生活能力の判定欄と3,日常生活能力の程度の欄を点数化し、後述する障害等級
の目安の表にあてはめることにより、等級の目安がわかるようになっています。
精神の診断書(裏面)はこちら☟

【2,日常生活能力の判定欄について・・・】
上記図の左側が該当します。
項目としては・・・
(1)適切な食事
(2)身辺の清潔保持
(3)金銭管理と買い物
(4)通院と服薬(要・不要)
(5)他人との意思伝達及び対人関係
(6)身辺の安全保持及び危機対応
(7)社会性
全部で7項目あり、各項目とも以下の4段階評価となります。
「できる」「おおむねできるが時には助言や指導を必要とする」「助言や指導があれば
できる」「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」
各項目とも左から右へ移動することにより、症状が重くなります。
評価する際の注意点として、単身で生活するとしたら可能かどうか で判断することに
なります。
例えば(1)適切な食事について、一人で生活した時に、栄養バランスを考えた献立を
考え、食材を購入・調理し、適切な量を食べ、後片付けまで自分ででき、毎日3食きちん
と食べられる等、一連の行為ができて初めて「できる」となります。
7項目の4段階評価には、以下の点数がつけられています。
・できる・・・1点
・おおむねできるが時には助言や指導を必要とする・・・2点
・助言や指導があればできる・・・3点
・助言や指導をしてもできない若しくは行わない・・・4点
7項目すべてに点数(1点~4点)をつけた後は、点数の合計点を7で割り平均をだします。
【3,日常生活能力の程度欄について・・・】
上記図の右側が該当します。
精神障害と知的障害に分かれています。知的障害がある場合は知的障害の欄に記入し
精神障害がある場合は、精神障害の欄に記入します。
評価は5段階に分かれています。(精神・知的欄とも評価基準は同じとなります・。)
(1)精神障害を認めるが社会生活は普通にできる。
(2)精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が
必要である。
(3)精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が
必要である。
(4)精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要
である。
(5)精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が
必要である。
上記1~5のうち、該当するもの1つに〇がつけられます。
【障害等級の目安】
医師に記載してもらった診断書の2,日常生活能力の判定欄と3,日常生活能力の程度の
欄を利用して、障害年金の等級(1~3級)の目安を知ることができます。
障害等級の目安はこちら☟

※上記等級の目安について・・・
縦軸に、日常生活能力の判定欄の平均値・横軸に,日常生活能力の程度の欄の程度が示されています。
仮に、日常生活能力の判定が2.8 日常生活能力の程度が(4)とした場合に「障害等級の
目安」表にあてはめてみると、縦軸と横軸が交わる個所が「2級」となります。
ただし、「障害等級の目安」はあくまでも「目安」であり、障害等級の決定については
その他の要因も加味したうえ総合的な判断によることになります。
【まとめ】
精神の障害と診断書についてみてまいりました。
診断書ができたら、必ず日常生活能力の判定欄と日常生活能力の程度の欄を確認する
ようにしてください。
特に、日常生活能力の判定欄の7項目については、ご自分の日常生活を顧みて、実情と
相違する場合には、医師に訂正するようにしてもらってください。
ご自分の実情と相違する診断書を提出しそれに基づき審査されると、審査結果を覆すの
は、非常に難しくなります。
医師に訂正を依頼できない場合や医師が訂正に応じてくれない場合には当事務所にご相
談ください。適切なアドバイスをさせていただきます。
社会保険労務士の中村健司です。
今回は、精神障害と障害年金というテーマで、障害年金が請求できる精神障害・診断書
の見方などをまとめてみます。
【障害年金が請求できる精神障害】
障害年金が請求できる精神障害は以下の通りとなります。
1,統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害
2,てんかん
3,症状性を含む器質性精神障害
4,知的障害
5、発達障害
【神経症などの精神障害は?】
人格障害(パーソナリティー障害)、神経症は障害年金の対象傷病ではないため
障害年金の請求は出来ないことになりますが、精神病の病態を示している場合は
障害年金の対象となります。
この場合、診断書の備考欄にその症状と、その症状に対応したICD‐10コード
を記入することになります。
以下の記述は、人格障害・神経症についての障害認定基準の記載箇所からの引用
となります。
☛人格障害は、原則として認定の対象とならない。
神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則 として、認定の対象とならない。
ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態 を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。
【精神障害の認定基準】
肢体の障害であれば、関節の可動域(どこまで動かせるか?)・腎臓や心臓などの
内臓疾患の障害であれば血液検査・心電図などの客観的な数値により障害の程度を
明確に示すことが可能となります。
精神の障害については、客観的な数値により障害の状態を示すのが困難なため
「日常生活において自分で自分の用事を行えるか」が等級を判定する際の基準となります。
【精神の診断書】
精神の診断書の裏面は、「日常生活において自分で自分の用事を行えるか」の判定基準
として、2,日常生活能力の判定欄と3,日常生活能力の程度の欄が設けられています。
2,日常生活能力の判定欄と3,日常生活能力の程度の欄を点数化し、後述する障害等級
の目安の表にあてはめることにより、等級の目安がわかるようになっています。
精神の診断書(裏面)はこちら☟

【2,日常生活能力の判定欄について・・・】
上記図の左側が該当します。
項目としては・・・
(1)適切な食事
(2)身辺の清潔保持
(3)金銭管理と買い物
(4)通院と服薬(要・不要)
(5)他人との意思伝達及び対人関係
(6)身辺の安全保持及び危機対応
(7)社会性
全部で7項目あり、各項目とも以下の4段階評価となります。
「できる」「おおむねできるが時には助言や指導を必要とする」「助言や指導があれば
できる」「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」
各項目とも左から右へ移動することにより、症状が重くなります。
評価する際の注意点として、単身で生活するとしたら可能かどうか で判断することに
なります。
例えば(1)適切な食事について、一人で生活した時に、栄養バランスを考えた献立を
考え、食材を購入・調理し、適切な量を食べ、後片付けまで自分ででき、毎日3食きちん
と食べられる等、一連の行為ができて初めて「できる」となります。
7項目の4段階評価には、以下の点数がつけられています。
・できる・・・1点
・おおむねできるが時には助言や指導を必要とする・・・2点
・助言や指導があればできる・・・3点
・助言や指導をしてもできない若しくは行わない・・・4点
7項目すべてに点数(1点~4点)をつけた後は、点数の合計点を7で割り平均をだします。
【3,日常生活能力の程度欄について・・・】
上記図の右側が該当します。
精神障害と知的障害に分かれています。知的障害がある場合は知的障害の欄に記入し
精神障害がある場合は、精神障害の欄に記入します。
評価は5段階に分かれています。(精神・知的欄とも評価基準は同じとなります・。)
(1)精神障害を認めるが社会生活は普通にできる。
(2)精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が
必要である。
(3)精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が
必要である。
(4)精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要
である。
(5)精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が
必要である。
上記1~5のうち、該当するもの1つに〇がつけられます。
【障害等級の目安】
医師に記載してもらった診断書の2,日常生活能力の判定欄と3,日常生活能力の程度の
欄を利用して、障害年金の等級(1~3級)の目安を知ることができます。
障害等級の目安はこちら☟

※上記等級の目安について・・・
縦軸に、日常生活能力の判定欄の平均値・横軸に,日常生活能力の程度の欄の程度が示されています。
仮に、日常生活能力の判定が2.8 日常生活能力の程度が(4)とした場合に「障害等級の
目安」表にあてはめてみると、縦軸と横軸が交わる個所が「2級」となります。
ただし、「障害等級の目安」はあくまでも「目安」であり、障害等級の決定については
その他の要因も加味したうえ総合的な判断によることになります。
【まとめ】
精神の障害と診断書についてみてまいりました。
診断書ができたら、必ず日常生活能力の判定欄と日常生活能力の程度の欄を確認する
ようにしてください。
特に、日常生活能力の判定欄の7項目については、ご自分の日常生活を顧みて、実情と
相違する場合には、医師に訂正するようにしてもらってください。
ご自分の実情と相違する診断書を提出しそれに基づき審査されると、審査結果を覆すの
は、非常に難しくなります。
医師に訂正を依頼できない場合や医師が訂正に応じてくれない場合には当事務所にご相
談ください。適切なアドバイスをさせていただきます。
2024年12月17日 12:50
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090-6150-3893
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