発達障害と障害年金
2024/12/25
こんにちは、東京都北区で障害年金の相談・裁定請求に特化した事務所を運営する
社会保険労務士の中村健司です。
本日は、発達障害と障害年金と題して、発達障害とはどのようなものか?発達障害
で障害年金を請求する場合の注意点等を以下にまとめて行きます。
【発達障害と障害年金】
発達障害も障害年金請求の対象傷病となります。
障害年金を請求する場合には、統合失調症・うつ病などと同じ精神の診断書を
使用します。
【発達障害とは?】
発達障害は、広汎性発達障害(こうはんせいはったつしょうがい)、学習障害、注意欠陥多動性障害など、脳機能の発達に関係する障害です。
発達障害がある人は、コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手です。また、その行動や態度は「自分勝手」とか「変わった人」
「困った人」と 誤解され、敬遠されることも少なくありません。その原因が、親のしつけや教育の問題ではなく、脳機能の障害によるもの
だと周囲の人が理解すれば、接しかたも変わってくるのではないでしょうか。
【発達障害図解】
発達障害の分類を見ていきたいと思います。
下図を参照してください☟

【主な発達障害の種類と特徴】
上記の図を参考に、主な発達障害の種類と特徴を見ていきたいと思います。
①広汎性発達障害
→コミュニケーション能力や社会性に関連する脳の領域に関係する発達障害の総称です。自閉症、アスペルガー症候群のほか、
レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害を含みます。
②自閉症
→自閉症は、「言葉の発達の遅れ」「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、こだわり」
などの特徴をもつ障害です。最近では、自閉症スペクトラムと呼ばれることもあります。
③アスペルガー症候群
→アスペルガー症候群は広い意味での「自閉症」に含まれる一つのタイプで、「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」
「パターン化した行動、興味・関心のかたより」があります。自閉症のように、幼児期に言葉の発達の遅れがないため、障害があることが
分かりにくいのですが、成長とともに不器用さがはっきりすることが特徴です。
④注意欠陥多動性障害(AD/HD)
→注意欠陥多動性障害(AD/HD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、「集中できない(不注意)」
「じっとしていられない(多動・多弁)」「考えるよりも先に動く(衝動的な行動)」などを特徴する発達障害です。
⑤学習障害(LD)
→学習障害(LD:Learning DisordersまたはLearning Disabilities)とは、全般的な知的発達に遅れはないのに、
聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい困難を示す
さまざまな状態をいいます。
⑥吃音(症)
→吃音(Stuttering)とは、音の繰り返し、ひき伸ばし、言葉を出せずに間があいてしまうなど、一般に「どもる」と言われ
る話しかたの障害です。幼児・児童期に出始めるタイプ(発達性吃音)がほとんどで、大半は自然に症状が消失したり軽くなったりします。
しかし、青年・成人期まで持続したり、青年期から目立つようになる人や、自分の名前が言えなかったり、電話で話せなくて悩む人もいます。
【発達障害に気づくポイントは?】
※発達障害の概要を見てきました、【発達障害とは】~【発達障害に気づくポイント】は、政府広報オンラインの記事からの抜粋となります。
それでは、以下に発達障害と障害年金の関係についてみていきたいと思います。
【発達障害の特徴】
発達障害の特徴は・・・
1,先天的なものである。
2,服薬等で根本的な治療は出来ない。
3、「疾患」というよりは「個性」という側面が強い。
発達障害も知的障害と同様に、統合失調症・うつ病などと違い生来的なものと認識されて
います。
【発達障害で障害年金を請求する場合の問題点】
発達障害は、知的障害と同様に生来のもの、低年齢で発症するにもかかわらず「初診日が20歳降でも障害年金の請求を認める」と
されたことについては、メリット・デメリ ッとが存在します。
・メリット→障害厚生年金の請求が可能となった。(受給できる年金額が多くなる)
・デメリット→初診日が20歳以降の場合、初診の証明及び保険料納付要件も問われる。
※発達障害が20歳以降でも障害年金の請求を認める理由☟ (障害認定基準より抜粋)
発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障 害の症状により、初めて受診した日が
20歳以降であった場合は、当該受診日を初診 日とする。
【発達障害の障害等級】

【障害年金額】
※上記金額は、令和6年度の年金額(年額)となります。
障害厚生年金1級または2級の場合は、配偶者加算及び子の加算が本来の年金額に上
せされます。
障害基礎年金1級または2級の場合は、子の加算が本来の年金額に上乗せされます。
【加給年金額】
配偶者・子供がいる場合に加算される金額は以下の通りとなります。☟

※上記の金額は、令和6年度の加算金額となります。
【障害年金生活者支援給付金】
上記の年金額のほかに、以下の要件を満たす場合には障害年金生活者支援給付金が
支給されます。
①支給要件☟

②支給金額☟

【所得制限】
20歳前に初診日がある場合、障害基礎年金の他に所得がある場合には所得制限が
伴う場合があります。
所得制限についてはこちら☟

【初診日要件】
初診日とは?→障害の原因となった傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を
受けた日と定義されています。
発達障害の場合、知的障害と異なり初診の証明は求められることとなります。
以下は、障害認定基準に規定された初診日要件の抜粋となります☟
発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の
症状により、初めて受診した日が 20 歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とす
る。
【保険料納付要件】
初診日が20歳以降にある場合には、保険料納付要件を満たす必要があります。
保険料納付要件は・・・
①原則(2/3要件)・・・図・例1の解説を参照ください。
②特例(1年要件)・・・図・例2の解説を参照ください。
①または②のどちらかを満たす必要があります。
①原則要件(2/3要件)はこちら☟

②特例(1年要件)はこちら☟

※保険料納付要件については、実務的には特例(1年基準)を先に調べ、特例を
満たさない場合には、原則(2/3要件)を調べます。
原則(2/3要件)または特例(1年基準)を満たさない場合には、障害年金の
請求は出来ないことになります。 年金は20歳からの加入となりますので、学生の時には「学生納付特例」または
【障害認定日とは?】
障害認定日とは、初診日から1年6カ月を経過した日または1年6カ月以内に症状が
固定した日をいいます。
障害認定日に、障害の状態が障害等級表に該当する場合には、障害年金の請求が
可能となります。
※障害等級表については、上記【発達障害の障害等級】を参照ください。
【障害年金の請求方法】
障害年金の請求方法は、障害認定日請求と事後重症請求となります
どちらも、前述した【初診日要件】・【保険料納付要件】を満たす必要が
あります。
①障害認定日請求
障害認定日に、障害等級表に該当する障害状態に該当する場合に障害年金を
請求する方法となります。
障害認定日から1年以内の場合は、診断書は障害認定日時点の診断書1枚
で請求が可能となります。
また、障害年金は5年前まで遡及して請求が可能となります。
遡及請求する場合は、障害認定日時点の診断書と障害年金請求時点の診断書
が必要となります。
下記【例1】を参照してください☟

障害認定日請求で支給決定された場合には、障害認定日の翌月から年金額が支給されます。
②事後重症請求
障害認定日に、障害等級表に該当する障害の状態ではなかった・障害認定日請求ができる
ことを知らなかった場合に、障害年金を請求する方法となります。
65歳の誕生日の前日まで、請求可能となります。
診断書は請求時点の診断書1枚が必要となります。
下記【例2】を参照してください☟

事後重症請求で支給決定された場合は、請求月の翌月から障害年金が支給されます。
【障害年金請求時の診断書】
障害年金請求時には、「精神」の診断書を使用します。☟
精神の診断書の裏面は、「日常生活において自分で自分の用事を行えるか」の判定基準
として、2,日常生活能力の判定欄と3,日常生活能力の程度の欄が設けられています。
2,日常生活能力の判定欄と3,日常生活能力の程度の欄を点数化し、後述する障害等級
の目安の表にあてはめることにより、等級の目安がわかるようになっています。
障害年金診断書はこちら☟

【2,日常生活能力の判定欄について・・・】
上記図の左側が該当します。
項目としては・・・
(1)適切な食事
(2)身辺の清潔保持
(3)金銭管理と買い物
(4)通院と服薬(要・不要)
(5)他人との意思伝達及び対人関係
(6)身辺の安全保持及び危機対応
(7)社会性
全部で7項目あり、各項目とも以下の4段階評価となります。
「できる」「おおむねできるが時には助言や指導を必要とする」「助言や指導があれば
できる」「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」
各項目とも左から右へ移動することにより、症状が重くなります。
評価する際の注意点として、単身で生活するとしたら可能かどうか で判断することに
なります。
例えば(1)適切な食事について、一人で生活した時に、栄養バランスを考えた献立を
考え、食材を購入・調理し、適切な量を食べ、後片付けまで自分ででき、毎日3食きちん
と食べられる等、一連の行為ができて初めて「できる」となります。
7項目の4段階評価には、以下の点数がつけられています。
・できる・・・1点
・おおむねできるが時には助言や指導を必要とする・・・2点
・助言や指導があればできる・・・3点
・助言や指導をしてもできない若しくは行わない・・・4点
7項目すべてに点数(1点~4点)をつけた後は、点数の合計点を7で割り平均をだします。
【3,日常生活能力の程度欄について・・・】
上記図の右側が該当します。
精神障害と知的障害に分かれています。知的障害がある場合は知的障害の欄に記入し
精神障害がある場合は、精神障害の欄に記入します。
評価は5段階に分かれています。(精神・知的欄とも評価基準は同じとなります・。)
(1)発達障害を認めるが社会生活は普通にできる。
(2)発達障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が
必要である。
(3)発達障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が
必要である。
(4)発達障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要
である。
(5)発達障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が
必要である。
上記1~5のうち、該当するもの1つに〇がつけられます。
【障害等級の目安】
医師に記載してもらった診断書の2,日常生活能力の判定欄と3,日常生活能力の程度の
欄を利用して、障害年金の等級(1~3級)の目安を知ることができます。
障害等級の目安はこちら☟

※上記等級の目安について・・・
縦軸に、日常生活能力の判定欄の平均値・横軸に,日常生活能力の程度の欄の程度が示されています。
仮に、日常生活能力の判定が生活能力の程度が(4)とした場合に「障害等級の
目安」表にあてはめてみると、縦軸と横軸が交わる個所が「2級」となります。
ただし、「障害等級の目安」はあくまでも「目安」であり、障害等級の決定については
その他の要因も加味したうえ総合的な判断によることになります。
【その他考慮すべき事項】
発達障害の障害等級決定については、障害等級の目安のほかに以下に掲げることも
考慮して決定されます。(障害認定基準からの抜粋となります。)
①発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能 力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことが
できないた めに日常生活に 著しい制限を受けることに着目して認定を行う。
発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)
認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。
②発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加 重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に
判断して認定する。
③ 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
④ 就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労 をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。 したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するととも に、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との 意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。
【病歴・就労状況等申立書】
発達障害の場合、病歴・就労状況等申立書は出生時点から3~5年ごとに区分して
障害年金の裁定請求時までの状態を記載することになっていましたが、令和2年10月
の改正により・・・
20歳未満前に初診日がある場合には、出生から初診日の前日までの日常生活の状況については、まとめて記載することになりました。
下記図の①を参照してください☟

※但し、20歳以降に初診日がある場合には出生時から障害年金請求時までの、日常生活の状況を3~5年ごとに区切り、
病歴・就労状況等申立書に記入する事になります。
【まとめ】
発達障害と障害年金の関係についてみてきました。
発達障害で障害年金を請求する場合のポイントとして以下のことが挙げられます。
①発達障害は、他の精神障害と違い根本的な治療は出来ない。
②「障害」というよりも「個性」である。
③初診日が20歳未満ならば初診日・保険料納付要件は不要である。
但し、初診日が20歳以降ならば初診日及び保険料納付要件を求められる。
④初診日が20歳未満の場合、障害基礎年金しか支給されないため受け取れる
年金額が少ない。他に所得がある場合には所得制限により支給される年金が
一部または全部停止になる恐れがある。
初診日が20歳以降の場合、もしくは20歳未満で厚生年金に加入している場合には
障害厚生年金で請求できる可能性があるので支給される年金額が障害基礎年金に比べ多くなる。
※発達障害またはその他の精神障害で障害年金の請求を考えていらっしゃる方
障害年金の申請において、疑問点やお悩みのある方は当事務所までご連絡
ください。適切なアドヴァイス・障害年金の裁定請求をお引受けいたします。
社会保険労務士の中村健司です。
本日は、発達障害と障害年金と題して、発達障害とはどのようなものか?発達障害
で障害年金を請求する場合の注意点等を以下にまとめて行きます。
【発達障害と障害年金】
発達障害も障害年金請求の対象傷病となります。
障害年金を請求する場合には、統合失調症・うつ病などと同じ精神の診断書を
使用します。
【発達障害とは?】
発達障害は、広汎性発達障害(こうはんせいはったつしょうがい)、学習障害、注意欠陥多動性障害など、脳機能の発達に関係する障害です。
発達障害がある人は、コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手です。また、その行動や態度は「自分勝手」とか「変わった人」
「困った人」と 誤解され、敬遠されることも少なくありません。その原因が、親のしつけや教育の問題ではなく、脳機能の障害によるもの
だと周囲の人が理解すれば、接しかたも変わってくるのではないでしょうか。
【発達障害図解】
発達障害の分類を見ていきたいと思います。
下図を参照してください☟

【主な発達障害の種類と特徴】
上記の図を参考に、主な発達障害の種類と特徴を見ていきたいと思います。
①広汎性発達障害
→コミュニケーション能力や社会性に関連する脳の領域に関係する発達障害の総称です。自閉症、アスペルガー症候群のほか、
レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害を含みます。
②自閉症
→自閉症は、「言葉の発達の遅れ」「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、こだわり」
などの特徴をもつ障害です。最近では、自閉症スペクトラムと呼ばれることもあります。
③アスペルガー症候群
→アスペルガー症候群は広い意味での「自閉症」に含まれる一つのタイプで、「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」
「パターン化した行動、興味・関心のかたより」があります。自閉症のように、幼児期に言葉の発達の遅れがないため、障害があることが
分かりにくいのですが、成長とともに不器用さがはっきりすることが特徴です。
④注意欠陥多動性障害(AD/HD)
→注意欠陥多動性障害(AD/HD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、「集中できない(不注意)」
「じっとしていられない(多動・多弁)」「考えるよりも先に動く(衝動的な行動)」などを特徴する発達障害です。
⑤学習障害(LD)
→学習障害(LD:Learning DisordersまたはLearning Disabilities)とは、全般的な知的発達に遅れはないのに、
聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい困難を示す
さまざまな状態をいいます。
⑥吃音(症)
→吃音(Stuttering)とは、音の繰り返し、ひき伸ばし、言葉を出せずに間があいてしまうなど、一般に「どもる」と言われ
る話しかたの障害です。幼児・児童期に出始めるタイプ(発達性吃音)がほとんどで、大半は自然に症状が消失したり軽くなったりします。
しかし、青年・成人期まで持続したり、青年期から目立つようになる人や、自分の名前が言えなかったり、電話で話せなくて悩む人もいます。
【発達障害に気づくポイントは?】
人との関わり方 | 一人遊びが多い、一方的でやりとりがしにくい おとなしすぎる、常に受動的 大人や年上の子、あるいは年下の子とは遊べるが、同級生とは遊べない |
||
コミュニケーション | 話は上手で難しいことを知っているが、一方的に話すことが多い おしゃべりだが、保育士や指導員の指示が伝わりにくい 話を聞かなければならない場面で席を離れてしまうことが多い、聞いていない |
||
イマジネーション・想像性 | 相手にとって失礼なことや相手が傷つくことをいってしまう 友だちがふざけてやっていることを取り違えて、いじめられたと思ってしまう 集団で何かしている時にボーッとしていたり、ふらふらと歩いていたりする 急な予定変更時に不安や混乱した様子がみられる |
||
注意・集中 | 一つのことに没頭すると話しかけても聞いていない 落ち着きがない、集中力がない、いつもぼんやりとしている 忘れ物が多い、毎日のことなのに支度や片づけができない |
||
感覚 | ざわざわした音に敏感で耳をふさぐ、雷や大きな音が苦手 靴下をいつも脱いでしまう、同じ洋服でないとダメ、手をつなぎたがらない 極端な偏食 揺れている所を極端に怖がる、すき間など狭い空間を好む |
||
運動 | 身体がクニャクニャとしていることが多い、床に寝転がることが多い 極端に不器用、絵やひらがなを書く時に筆圧が弱い、食べこぼしが多い 運動の調整が苦手で乱暴に思われてしまう、大きすぎる声を出すことが多い |
||
学習 | 話が流暢で頭の回転が速いことに比べて、作業が極端に遅い 難しい漢字を読むことができる一方で、簡単なひらがなが書けない 図鑑や本を好んで読むが、作文を書くことは苦手 |
||
情緒・感情 | 極端な怖がり ささいなことでも注意されるとかっとなりやすい、思い通りにならないとパニックになる 一度感情が高まると、なかなか興奮がおさまらない |
※発達障害の概要を見てきました、【発達障害とは】~【発達障害に気づくポイント】は、政府広報オンラインの記事からの抜粋となります。
それでは、以下に発達障害と障害年金の関係についてみていきたいと思います。
【発達障害の特徴】
発達障害の特徴は・・・
1,先天的なものである。
2,服薬等で根本的な治療は出来ない。
3、「疾患」というよりは「個性」という側面が強い。
発達障害も知的障害と同様に、統合失調症・うつ病などと違い生来的なものと認識されて
います。
【発達障害で障害年金を請求する場合の問題点】
発達障害は、知的障害と同様に生来のもの、低年齢で発症するにもかかわらず「初診日が20歳降でも障害年金の請求を認める」と
されたことについては、メリット・デメリ ッとが存在します。
・メリット→障害厚生年金の請求が可能となった。(受給できる年金額が多くなる)
・デメリット→初診日が20歳以降の場合、初診の証明及び保険料納付要件も問われる。
※発達障害が20歳以降でも障害年金の請求を認める理由☟ (障害認定基準より抜粋)
発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障 害の症状により、初めて受診した日が
20歳以降であった場合は、当該受診日を初診 日とする。
【発達障害の障害等級】

【障害年金額】

※上記金額は、令和6年度の年金額(年額)となります。
障害厚生年金1級または2級の場合は、配偶者加算及び子の加算が本来の年金額に上
せされます。
障害基礎年金1級または2級の場合は、子の加算が本来の年金額に上乗せされます。
【加給年金額】
配偶者・子供がいる場合に加算される金額は以下の通りとなります。☟

※上記の金額は、令和6年度の加算金額となります。
【障害年金生活者支援給付金】
上記の年金額のほかに、以下の要件を満たす場合には障害年金生活者支援給付金が
支給されます。
①支給要件☟

②支給金額☟

【所得制限】
20歳前に初診日がある場合、障害基礎年金の他に所得がある場合には所得制限が
伴う場合があります。
所得制限についてはこちら☟

【初診日要件】
初診日とは?→障害の原因となった傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を
受けた日と定義されています。
発達障害の場合、知的障害と異なり初診の証明は求められることとなります。
以下は、障害認定基準に規定された初診日要件の抜粋となります☟
発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の
症状により、初めて受診した日が 20 歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とす
る。
【保険料納付要件】
初診日が20歳以降にある場合には、保険料納付要件を満たす必要があります。
保険料納付要件は・・・
①原則(2/3要件)・・・図・例1の解説を参照ください。
②特例(1年要件)・・・図・例2の解説を参照ください。
①または②のどちらかを満たす必要があります。
①原則要件(2/3要件)はこちら☟

②特例(1年要件)はこちら☟

※保険料納付要件については、実務的には特例(1年基準)を先に調べ、特例を
満たさない場合には、原則(2/3要件)を調べます。
原則(2/3要件)または特例(1年基準)を満たさない場合には、障害年金の
請求は出来ないことになります。
年金は20歳からの加入となりますので、学生の時には「学生納付特例」または
「免除制度」を利用し、保険料の未納期間がないようにすることが重要となります。
【障害認定日とは?】
障害認定日とは、初診日から1年6カ月を経過した日または1年6カ月以内に症状が
固定した日をいいます。
障害認定日に、障害の状態が障害等級表に該当する場合には、障害年金の請求が
可能となります。
※障害等級表については、上記【発達障害の障害等級】を参照ください。
【障害年金の請求方法】
障害年金の請求方法は、障害認定日請求と事後重症請求となります
どちらも、前述した【初診日要件】・【保険料納付要件】を満たす必要が
あります。
①障害認定日請求
障害認定日に、障害等級表に該当する障害状態に該当する場合に障害年金を
請求する方法となります。
障害認定日から1年以内の場合は、診断書は障害認定日時点の診断書1枚
で請求が可能となります。
また、障害年金は5年前まで遡及して請求が可能となります。
遡及請求する場合は、障害認定日時点の診断書と障害年金請求時点の診断書
が必要となります。
下記【例1】を参照してください☟

障害認定日請求で支給決定された場合には、障害認定日の翌月から年金額が支給されます。
②事後重症請求
障害認定日に、障害等級表に該当する障害の状態ではなかった・障害認定日請求ができる
ことを知らなかった場合に、障害年金を請求する方法となります。
65歳の誕生日の前日まで、請求可能となります。
診断書は請求時点の診断書1枚が必要となります。
下記【例2】を参照してください☟

事後重症請求で支給決定された場合は、請求月の翌月から障害年金が支給されます。
【障害年金請求時の診断書】
障害年金請求時には、「精神」の診断書を使用します。☟
精神の診断書の裏面は、「日常生活において自分で自分の用事を行えるか」の判定基準
として、2,日常生活能力の判定欄と3,日常生活能力の程度の欄が設けられています。
2,日常生活能力の判定欄と3,日常生活能力の程度の欄を点数化し、後述する障害等級
の目安の表にあてはめることにより、等級の目安がわかるようになっています。
障害年金診断書はこちら☟

【2,日常生活能力の判定欄について・・・】
上記図の左側が該当します。
項目としては・・・
(1)適切な食事
(2)身辺の清潔保持
(3)金銭管理と買い物
(4)通院と服薬(要・不要)
(5)他人との意思伝達及び対人関係
(6)身辺の安全保持及び危機対応
(7)社会性
全部で7項目あり、各項目とも以下の4段階評価となります。
「できる」「おおむねできるが時には助言や指導を必要とする」「助言や指導があれば
できる」「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」
各項目とも左から右へ移動することにより、症状が重くなります。
評価する際の注意点として、単身で生活するとしたら可能かどうか で判断することに
なります。
例えば(1)適切な食事について、一人で生活した時に、栄養バランスを考えた献立を
考え、食材を購入・調理し、適切な量を食べ、後片付けまで自分ででき、毎日3食きちん
と食べられる等、一連の行為ができて初めて「できる」となります。
7項目の4段階評価には、以下の点数がつけられています。
・できる・・・1点
・おおむねできるが時には助言や指導を必要とする・・・2点
・助言や指導があればできる・・・3点
・助言や指導をしてもできない若しくは行わない・・・4点
7項目すべてに点数(1点~4点)をつけた後は、点数の合計点を7で割り平均をだします。
【3,日常生活能力の程度欄について・・・】
上記図の右側が該当します。
精神障害と知的障害に分かれています。知的障害がある場合は知的障害の欄に記入し
精神障害がある場合は、精神障害の欄に記入します。
評価は5段階に分かれています。(精神・知的欄とも評価基準は同じとなります・。)
(1)発達障害を認めるが社会生活は普通にできる。
(2)発達障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が
必要である。
(3)発達障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が
必要である。
(4)発達障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要
である。
(5)発達障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が
必要である。
上記1~5のうち、該当するもの1つに〇がつけられます。
【障害等級の目安】
医師に記載してもらった診断書の2,日常生活能力の判定欄と3,日常生活能力の程度の
欄を利用して、障害年金の等級(1~3級)の目安を知ることができます。
障害等級の目安はこちら☟

※上記等級の目安について・・・
縦軸に、日常生活能力の判定欄の平均値・横軸に,日常生活能力の程度の欄の程度が示されています。
仮に、日常生活能力の判定が生活能力の程度が(4)とした場合に「障害等級の
目安」表にあてはめてみると、縦軸と横軸が交わる個所が「2級」となります。
ただし、「障害等級の目安」はあくまでも「目安」であり、障害等級の決定については
その他の要因も加味したうえ総合的な判断によることになります。
【その他考慮すべき事項】
発達障害の障害等級決定については、障害等級の目安のほかに以下に掲げることも
考慮して決定されます。(障害認定基準からの抜粋となります。)
①発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能 力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことが
できないた めに日常生活に 著しい制限を受けることに着目して認定を行う。
発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)
認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。
②発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加 重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に
判断して認定する。
③ 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
④ 就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労 をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。 したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するととも に、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との 意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。
【病歴・就労状況等申立書】
発達障害の場合、病歴・就労状況等申立書は出生時点から3~5年ごとに区分して
障害年金の裁定請求時までの状態を記載することになっていましたが、令和2年10月
の改正により・・・
20歳未満前に初診日がある場合には、出生から初診日の前日までの日常生活の状況については、まとめて記載することになりました。
下記図の①を参照してください☟

※但し、20歳以降に初診日がある場合には出生時から障害年金請求時までの、日常生活の状況を3~5年ごとに区切り、
病歴・就労状況等申立書に記入する事になります。
【まとめ】
発達障害と障害年金の関係についてみてきました。
発達障害で障害年金を請求する場合のポイントとして以下のことが挙げられます。
①発達障害は、他の精神障害と違い根本的な治療は出来ない。
②「障害」というよりも「個性」である。
③初診日が20歳未満ならば初診日・保険料納付要件は不要である。
但し、初診日が20歳以降ならば初診日及び保険料納付要件を求められる。
④初診日が20歳未満の場合、障害基礎年金しか支給されないため受け取れる
年金額が少ない。他に所得がある場合には所得制限により支給される年金が
一部または全部停止になる恐れがある。
初診日が20歳以降の場合、もしくは20歳未満で厚生年金に加入している場合には
障害厚生年金で請求できる可能性があるので支給される年金額が障害基礎年金に比べ多くなる。
※発達障害またはその他の精神障害で障害年金の請求を考えていらっしゃる方
障害年金の申請において、疑問点やお悩みのある方は当事務所までご連絡
ください。適切なアドヴァイス・障害年金の裁定請求をお引受けいたします。
2024年12月25日 07:02
--------------------------------------------------------------------
中村社会保険労務士事務所
住所 :
東京都北区赤羽台 4-17-18-1210
電話番号 :
090-6150-3893
--------------------------------------------------------------------