初診日が特定できないのは?
2025/04/25
こんにちは、東京都北区で障害年金の相談・裁定請求に特化した事務所を運営する
社会保険労務士の中村健司です。
本日は、前回に続き初診日について、初診日が特定できない理由及び初診日特定が
困難な理由について、実例を交えまとめておきます。
初診日は、障害年金の請求において絶対要件となります。
実際に、初診日が特定できないために障害年金の請求ができない事例は数多く存在します。
それでは、なぜ初診日が特定できないのか?以下をお読み下さい。
※以下の記事は、初診の医療機関と現在の医療機関が異なる場合が前提となります。
【カルテの保存義務】
初診の証明(受診状況等証明書)は、診療録(カルテ)からの記載が原則となります。
カルテ(診療録)の保存義務は、医師法により5年と定められています。
受診を自己中断し、5年以上経過するとカルテ(診療録)が廃棄されている可能性が
あります。
【障害年金における初診の証明】
半永久的に求められます。10年・20年前の初診であっても初診の証明が求められます。
カルテの保存義務(5年)は考慮されません。
カルテの保存義務と障害年金における初診の証明のギャップにより、初診の証明が
取れず、泣く泣く障害年金の請求をあきらめる方は多数いらっしゃいます。
【対策方法】
①医療機関を変わる場合、将来的に障害状態が重くなりそうだと感じた場合
受診状況等証明書を取得することをお勧めします。
障害年金の請求において、初診の証明は10年・20年前の初診であっても
求められますが、有効期限はないため半永久的に使える資料となります。
②医療機関を変わる場合、診療情報提供書を必ず取得し、次の医療機関に渡すこと。
診療情報提供書には前医での受診状況や治療内容が詳細に記述されているため、
初診の証明医となります。
次に私が扱った、初診日の事例を2つ記載しておきます。両方とも運よく初診
の証明が取得できた事例となります。
【事例1】
- ① 年齢/性別…30代/男性
- ⓶ 治療経過
10代の頃、精神的に不安になり自殺を図り未遂に終わる。
治療のため、大学病院に入院し双極性障害の診断を受ける。
その後、転居のため受診せず現在まで通常の生活を送る。
R6年会社の経営縮小により人員整理により解雇される。
その他、家庭の問題が重なり、双極性障害再発。
障害年金の相談に来られる。
- ③ 初診の証明の取得
初診から20年以上経過しているため、初診の証明は不可能かも
しれないと相談者に話をし、初診と思われる病院に資料を郵送
- 結果:診療録がマイクロフィルムに残っていたため、初診の証明が
ができ、障害年金の請求代行を委任される。
※この場合、受診した医療機関が地域の拠点病院である大学病院であったため
診療録(カルテ)が保存されていました。
この例からもわかるように、地域の拠点病院である大学病院。・総合病院には
診療録(カルテ)が保管されているケースがあります。
【事例2】
- ① 年齢/性別…20代女性
- 10代のころ、統合失調症を発症。さしたる理由もなくクリニックを
頻繁に変える。20代になり、幻聴・幻覚が酷くなり障害年金の請求
の相談を受ける。
- ⓶ 結果:ご本人とは話ができる状態ではないため、ご家族に状況を
確認する。1件目の医療機関は既に廃院し、その後は自分でクリニックを
探してきては転院していたとの事。
幸い、診察券は残っていたので2件目に受診したクリニックに荷電し、
診療情報提供書が存在することを確認。
2件目のクリニックで初診の証明をしてもらうことができた。
※このケースの場合、子供の病状に家族が振り回され、過去の事まで手が回らない
事が原因となりました。
このような時は、冷静な第三者(社会保険労務士)に依頼し、過去の受診履歴を
精査してもらうことが有用となります。
いかがでしたでしょうか?初診日が特定できない場合などは、当事務所にご相談
ください。微力ながらお手伝いさせていただきます。
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