社会的治癒とは?
こんにちは、東京都北区で障害年金の相談・裁定請求に特化した事務所を運営する社会保険労務士の中村健司です。
本日は社会的治癒について解説していきたいと思います。
社会的治癒とは、社会保障制度(障害年金・傷病手当金)制度独自の考え方となります。
医学的な考え方とは異なりますので注意が必要となります。
【社会的治癒とは?】
医学的には完治していないが、通常の日常生活が一定期間継続している場合に、傷病が
治癒したとみなす考え方となります。
【社会的治癒が認められるには?】
社会的治癒が認められるには、一定期間内に以下に掲げることが考慮されます。
1,一定の年数が必要となる。
2,原則、一定期間通院や服薬をしていない。
3,通院や服薬をしている場合には、検査結果で異状なしや要経過観察レベルで
あることを医師に証明してもらう事が重要。
3,一般的な社会生活を送ることができている
☛具体的には・・・
(就労面においての評価要素として・・・)
・勤務していた会社への通勤に要する時間・方法・状況
・会社における地位・担当職務・勤務状況・勤務内容・昇格及び昇進の有無
・厚生年金の被保険者期間であること。等
(私生活の面においての評価要素として・・・)
・結婚をした
・子供の誕生
・分譲マンション・戸建て住宅の購入
・家事・育児に参加できる等
【社会的治癒に該当しない場合】
1,自己判断で通院や服薬を中止した。
2,金銭的余裕がないので、通院や服薬を中止した等
【一定期間の長さ】
おおむね5年程度が目安といわれていますが、明確な基準はなく5年未満でも社会的
治癒が認められる場合もあれば、5年より長い期間であっても社会的治癒が認められ
ない場合もあるので注意が必要です。
【社会的治癒を援用する場合】
本来の初診日が不明・または本来の初診日では保険料納付要件が満たせない等、障害年金の請求において必要な条件を、社会的治癒期間を援用することにより初診日を一定期間後ろにずらすことが可能となります。
具体的には・・・
1,初診日を新たに設定することができる
2,保険料納付要件を満たすことが可能となる
3、障害基礎年金ではなく障害厚生年金での請求が可能となり、受取る年金額が増える
4,遡及請求が可能となる。
【社会的治癒の注意点】
社会的治癒を援用して、障害年金を請求してもすべて認められるわけではありません。
社会的治癒の認定については、個々の状況により決定されるため注意が必要となります。
2024年12月11日 13:33